日本の人間関係はややこしい|ほかに国にないグループや派閥の存在

もうひとつのややこしい人間関係と言えば派閥です。日本の社会にももちろん派閥や学閥というものが存在するが、国際機関の場合、様々な国出身の人がいる上、その後ろ盾となっている政府の力関係も絡んでくるので、人間関係は何かとややこしい。その中から、互いにサポートし合ったりいがみ合ったりするグループができあがっていくのだ。
たとえば、こういったグループが存在する。

・古株の職員と、入社して比較的時間のたっていない職員
・公務員しかしたことのない職員と、プライベート・セクターからやってきた職員
・英語が母国語の職員と、そうでない職員

これ以外のグループも限りなく存在する各グループのメンバーが別のグループにもオーバーラップするため、人間関係はさらに複雑怪奇になる。
似た者同士でグループを作ると言えば、忘れてはならない組み合わせがある。
元植民地の国出身の職員と、そこを植民地にしていた国(宗主国)出身の職員のグループだ。本人たちは否定するかもしれないが、彼らの間には絶対相通じるものがある。

G8国(アメリカ、イギリス・フランス・ドイツ・イタリア・カナダ・ロシア・日本)を見ても、かつての宗主国が多い。
アメリカはフィリピン、ドイツはトーゴ・ルワンダ・ブルンギ・サモア。イタリアはリビア・ソマリアを植民地とし、カナダは1949年までイギリスの植民地だった。

ロシアは、植民地こそ持っていなかったが、かつてのソ連衛星国東ヨーロッパの共産圏を植民地のように支配していたし、ソ連内のグルジア・ウクライナ・ウズベキスタンなどは、植民地化どころか自国に組み込んで支配していた。日本は、台湾、朝鮮(大韓民国)、南樺太、中国関東州、南洋群島を植民地にした。

日本の植民地政策がアジア諸国から手厳しく批判されることが多いのは、まず第一に、日本が世界の帝国主義国の植民地マーケットヘ参入した時期が遅すぎたということと、第二に、イギリスなどの列強は「間接統治」という形をとり、できるだけ自分の手を汚さず洗練された形で植民地化していった一方、日本はそういう点で洗練されておらず、後から批判を受けることになったということが挙げられる。
イギリスやフランスを真似て、植民地先(韓国、台湾、マレーシアなど)で日本語による言語教育を施したこともあるが英語やフランス語と違い書それが彼らの公用語として根づきもしなかった。G8国の一端を担っているにもかかわらず、イギリスやフランスのような国際的な影響力は非常に小さい。


たとえばイギリスが植民地化したインド(1877~1947年)の公用語はヒンディー語と英語だし、シンガポール(1819~1963年/1942~1945年は日本軍が占領)の公用語は英語・マレー語・中国語・タミル語である。アメリカ合衆国がかつて植民地化したフィリピン(1899~1934年/1943年は日本軍が占領)の公用語はタガログ語と英語だ。これらの国の出身者は英語が堪能なので、国際機関(英語とフランス語が公用語であることが多い)にも馴染みやすい。

つまり日本人は、「かつての宗主国」の上司に可愛がられることもなく(これは、元宗主国の職員が出世しやすく、上司になりやすいということだ)、元植民地の国同士としての連帯感もなに当然のことながら日本語を話す職員は日本人以外いないのと、「文化的にひとりぼっち」であるのは個性的ということでもあるので、むしろ喜ぶべきことなのだが、国際機関で働いていると「これも損なことのひとつかなあ」と思ったりもする。

繰り返しになるが、日本文化や日本語はかなり特殊だし、植民地にされたことがないだけに、世界の主流文化である欧米文化にどっぷり染まった経験がない(第二次世界大戦で敗戦国になったとはいえ、母国語は日本語のままだし、名前が欧米化したということもない)。

その一方で、経済的には豊かになったため、G8国に入ったり国際機関へ多額の分担金を支払うなど、国際的には非常に重要な立場に置かれている。その役割の重さに比べ、どんな風にふるまったらいいのか、ほとんどの日本人がよくわかっていないのが、日本が世界で「損」をしている所以だろう。




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