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1.日本語で似ている意味の言葉の正しい使い分け│健康編
あ~か | さ~た | な~は | ま~や | ら~わ |
日本語は世界の言語と比べても驚くほど語彙数が多いのが特徴です。多彩な表現ができる一方で似たような意味の言葉もたくさんあり、迷うケースも少なくありません。
ここでは健康に関する勘違いしやすく、間違えやすい日本語を紹介します。
あ~か行
安楽死VS尊厳死
「尊厳死」と「安楽死」は、言葉は似ているけれど、まったく違うものである。
尊厳死というのは、回復の見込みのない病気や末期の症状になったときに、自分の意思で延命治療をやめてもらって、自然に人間らしい死を遂げるということ。死を直視して自然死を迎えるという意思が込められている。
それに比べて安楽死というのは、死が目前に迫っている人が肉体的に苦しんでいるときに、その苦しみを緩和・除去するために安らかな死をあえて迎えるということ。薬物投与などを行うのは安楽死にあたる。
安楽死を行えば、それを実行した医師や家族は嘱託殺人の罪に問われることもある。一定の要件を満たせばその行為は違法性がないとする考え方も認められてきたが、まだまだ議論を要する課題である。
イボVSタコVSウオノメ
体の表面に何かがポツンとできてしまった。これは「イボ」?「タコ」?いや、「ウオノメ」だろうか?
これは、できた場所が常に外的な刺激を受けている場所かどうか、痛みがあるかどうかによってわかる。外的な刺激を常に受けている場所にできたものならタコかウオノメ。痛みがなければタコで、中心に目(芯)があり痛みを伴っているならウオノメだ。
人間の皮膚は、繰り返し刺激を受けていると、自らを守るために皮膚を硬くしていく。その結果タコができるわけだ。
このタコがさらに刺激されていくと、タコによって皮膚の内部が圧迫される。
その結果できるのがウオノメだが、ウオノメは痛みが出るので、治療が必要となる。
また、見た目は同じようでも、とくに圧迫されていない場所にできているなら、イボの可能性が高い。かんたんにいえば、イボは皮膚の病気だ。老化によって皮膚が硬くなってできる老人性のイボと、ウイルスによってできるイボがあり、ウイルス性のものは、ほうっておくとどんどん大きくなったり、数が増えたりすることがある。
うれし涙VS悲しみの涙
同じ感情の動きによって流れる涙でも、「うれし涙」と「悲しみの涙」では、涙を出す命令系統が違っている。
自律神経には交感神経と副交感神経があり、うれし涙は交感神経の刺激によって流れる涙である。怒りの涙やくやし涙も、交感神経が支配しており、その流量はあまり多くはなく、目を潤ませる程度であることが多い。
これに比べ、悲しみの涙は副交感神経が支配している。とくに、交感神経から副交感神経に切り替わるときに大量に出てくる。つまり、緊張状態からリラックスしたり安心したりすると涙が出やすいことになる。人前では泣かないのに、ひとりになった途端涙が出てくることがあるのはこのためだ。また、悲しみの涙の中にはストレス物質が含まれている。
つまり、悲しいときはたっぷり泣けば、涙と一緒にストレス物質も外に出せるというわけだ。
LD VS ADHD
知能に遅れがあるわけでもないのに、なぜか学習面で劣っている。授業中、どんなに注意しても座っていることができずに歩き回ったり、突然ちょっとしたことで興奮したり、怒り出したり。
こうした行動が目立つ子供は「LD」や「ADHD」の可能性がある。
「LD」とは学習障害のこと。知的発達に遅れはなく、日常生活にはとくに問題ないのだが、聞く、話す、読む、書く、計算するまたは推論する能力のうち特定のものを習得したり使用したりする際に、著しく困難な状況に陥ってしまう状態である。つまりLDとは、学習に関係する何らかの部分で、どうしても脳がスムーズに働かなかったり混乱する状態になるということである。
一方、「ADHD」は注意欠陥多動性障害と呼ばれるもので、学習面ではなく社会(家庭)生活において適応しきれない状態にあること。特徴は不注意、多動性、衝動性の三つである。落ち着きがなくてじっとしていられないとか、何かをしようとしても気が散って集中できないとか、情緒不安定で興奮しやすく、衝動的に怒りをあらわにするといった行動が、人並み外れて激しく起きてしまう症状だ。ADHDはLDと重複している場合が多いようだ。
こうした障害は、生まれつきのものであり、親のしつけや育て方で後天的になりうるものではないといわれている。
遠視VS老視
「遠視」と「老視」は、どちらも近くが見づらくて、 凸レンズの眼鏡を使用するが、原因となれば大きく異なる。
目に入ってきた光は、角膜と水晶体を通って屈折し、眼球の奥にある網膜に到着する。このとき、きちんと網膜に像を結ぶことができるのが正視の状態。
網膜の前方に像を結ぶのが近視、網膜の後方に像を結ぶのが遠視だ。
つまり遠視は、網膜の後ろにピントが合っているために、遠いところや近いところを見る場合に多くの調節が必要となっている状態なのだ。
これに比べて老視は、老化によって水晶体の弾力性が弱まり、近いところを見る際に網膜にピントが合わなくなっている状態のこと。いわゆる、これが老眼である。近くが見づらいという共通点があるので、遠視と老視は混同されがちだが、両者のいちばんの違いは調整力にある。遠視の場合は、老視とは違って調整力がある。
かぜVSインフルエンザ
ここ数年、冬になると毎年のように大流行しているインフルエンザ。普通のかぜとどう違うのだろうか?
一般的に「かぜ」と呼ばれているものは、鼻かぜを起こすライノウイルスや、のどを腫らすアデノウイルスが病原体の代表格だ。かぜをひくと、鼻水やくしゃみ、せき、のどの痛みなどの症状が出るが、発熱は大したことがない。また、全身の疼痛も弱く、合併症もない。普通は3日以内、長くても一週間程度で治る病気である。
それに比べて「インフルエンザ」は、インフルエンザウイルスが原因で起こる病気。インフルエンザにかかると、急激に38度以上の高熱が出て、頭痛、関節痛、筋肉痛、倦怠感などの全身症状が表れるのが特徴だ。インフルエンザウイルスの潜伏期間は1~2日で、3日目頃から急激に悪化。気管支炎や肺炎などの合併症が出ることも多く、高齢者や小児だと重症化することがある。最悪の場合は死にいたることもある。
かぜはウイルスが含まれている鼻水や唾液を鼻や口の粘膜に接触させると感染するので、予防にはていねいなうがいや手洗いが効果的。ところがインフルエンザウイルスは、空気中に漂って長期間生存することができるため、ウイルスがいる空気を吸い込むだけでも感染してしまう可能性がある。
肩こりVS四十肩
最近では若い人でも肩こりに悩まされているようだが、10代や20代で起きる「肩こり」も、「四十肩」と同じなのだろうか?
じつは、一般的な肩こりと四十肩では、原因からして違う。普通の肩こりは筋肉の疲労によるものだが、四十肩は関節の疾患である。
肩こりでは、肩が重苦しくなり、こわばった不快感がある。腕や肩が動かしにくくはなるが、そう痛むことはない。
何かのきっかけで腕を支える筋肉が弱まったりすると、まず肩甲骨の動きが悪くなり、さらに肩全体から首にかけての筋肉が硬くなって血液の流れが悪くなる。肩の筋肉が疲労して老廃物がたまり、緊張の高まった状態だ。
これに対して四十肩は、40代(50代では五十肩)の人に起こりやすい肩関節周辺の炎症で、医学的には「肩関節周囲炎」と呼ばれる。関節が硬くなり、肩を動かすと肩そのものが痛むのが特徴だ。
多くの場合、突然肩関節に痛みやしびれを感じることから始まり、ひどい場合には夜も眠れないほどの痛みに襲われることもある。
こちらは何かのきっかけによって起こるものではなく、老化現象のひとつと考えられるようだ。
蚊に刺される人VS蚊に刺されない人
蚊が人間を刺すのは、卵を成熟させるために人の血液を吸って栄養にする必要があるからだ。
では、蚊はどうやって人間の居場所を見つけ出すのだろうか。
じつは、人間の排出する二酸化炭素や汗に含まれる乳酸の二オイを、触角で感知しているのだ。
ということは、汗っかきの人、体臭の強い人がねらわれやすいということになる。同じように、運動や飲酒で体温が上がったときも、新陳代謝が活発になって蚊に刺されやすくなるわけだ。
健康診断VS人間ドック
「健康診断」や「人間ドック」を受けることは大切だと知っているが、さて、どちらを受けるのがいいのだろうか?
健康診断は、学校や職場などの集団でよく実施される。会社においては、一年に一回一般健康診断を受けなければならない、と厚生労働省が定めている。
健康診断の目的は病気の予防と早期発見。これは病気を確定するためのものではなく、病気の疑いのある人を見つけるためのスクリーニング、つまりは振り分け作業である。
それに対し人間ドックは、個人が自主的に行うもの。病気の予防や早期発見を目的にしている点では健康診断と同じだが、検査項目は詳細で、精密検査も行われ、診断の結果に基づいて生活指導なども行われる。
オプションとして、脳の状態を詳しく調べる脳ドック、各種がんを対象としたがんドックなども実施されており、自分が気になる部分を徹底的に検査することが可能である。
さ~た行
CT検査VSMR検査
CT検査やMR検査は、どちらも体を輪切りにした状態の写真を撮ることで病気を見つける方法だ。この二つが大きく異なる点は、「CT検査」はX線を使って撮影するのに対し、「MR検査」は強い磁場と電磁波で撮影することである。
CTは、X線を体の部位に小刻みに照射して、通り抜けたX線の量を測り、その情報をコンピュータ処理する。単純X線ではわからない部位を撮影したり、より鮮明な映像が得られるので、脳梗塞やくも膜下出血など頭部の病気や、肺がん、肝臓がんなどの検査に向いている。
ただし、レントゲンと同じX線を使うため、骨まで写りやすく、内臓の形がわかりにくいこともある。
一方のMRには、MRI (磁気共鳴断層撮影)とMRA(磁気共鳴血管撮影)がある。
MRIは、磁気を体内の水分に反応させて体の断面画像を作る方法だ。磁気波は水分を含まない骨にはほとんど影響されないため、CTでは骨に隠れて写らないような臓器も撮影でき、脳梗塞など脳の疾患や、肺がんなどの検査に使われる。血管だけを画像化するMRAは、血管障害の検査に有効だ。
良い歯科医VS悪い歯科医
歯列矯正など審美歯科という新しい分野も登場している歯医者だが、技術をどうこう言う前に、虫歯の治療には良心的な歯科医かどうかのほうが重要。次の点をチェックすれば見分けが簡単だ。
まず待合室では患者用スリッパが清潔かどうか見る。
消毒臭がこもっていないかどうかもポイントだ。治療室では、医師やスタッフの制服の清潔度を確認し、器具がきれいかどうかも見るようにしたい。
また、診察もそこそこに、すぐに自由診療をすすめるようでは、決していい歯医者とはいえない。
冷湿布VS温湿布
捻挫をしたり、激しい打ち身ができたり、筋肉がつっぱったり。こんなときは湿布にかぎる。ただ、ひとえに湿布といっても、「冷湿布」と「温湿布」があり、どの症状のときにどちらが効果的なのか、よくわからない。急性的な怪我などで、患部が赤く腫れたり、熱を持ったり、痛みがあるときには冷湿布がいい。局所を冷やすことで血管の収縮や新陳代謝の低下をうながし、炎症物質が生成されるのを阻止して鎮痛効果をもたらすのだ。打撲や捻挫などの外傷性疾患の初期の湿布である。
これに対して、慢性の症状には温湿布が向いている。温かい刺激を与えることで血管の拡張や血液循環の改善、さらには新陳代謝の促進をもたらして、炎症物質を吸収したり、痛みをやわらげたりすることができる。
重体VS重傷
何か大きな事故があった場合、新聞やテレビのニュースで「負傷者は、重体二名、重傷三名」などと伝えられる。
この「重傷」とは、警察庁など官公署での事故の分類に使われる言葉。怪我は「軽症」「中傷」「重傷」の三つに分類されており、軽症とは疾病程度が入院加療を必要としないもの、重傷は、疾病程度が全治1カ月以上の入院加療を必要とするもの、中傷は軽症または重傷以外のものだ。
重傷と聞けばかなり重篤な状態を想像しがちだが、たとえば腕を骨折して1カ月の入院が必要ならば、それは重傷であり、命にかかわる怪我かどうかは関係ない。
これでは命に別状があるのかないのかがわかりにくいということで誕生したのが「重体」という言葉。報道機関が怪我の状況をわかりやすく報道するために独自に設けた基準である。重体は、重傷者のうち、脳や内臓など、命にかかわる部分に損傷を負っている場合に使われる。
この基準で最初のニュースを整理してみると、重体の二名は脳や内臓などに大きな損傷を受けて生命の危機に瀕しているのに対し、三名の重傷者は、怪我は重いものの命に別状はないということになる。
食前VS食間VS食後
薬を飲もうとすると、「食前」「食間」「食後」などと服用時間が指定されているはずだ。服用時間を守らなければ効果が半減することもあるようだが、この3つはいつを指しているのだろう。食前とは食事の約30分前のこと。胃がからっぽの状態なので、薬が吸収されやすく、効果は高い。ただし胃を荒らすこともあるので、食前指定の薬は胃への刺激が少ないものや、食欲を増進させる薬、吐き気止めなどに限られる。食間とは食事の約2時間後のことで、この時間は胃の内容物が腸に移動してほぼ空腹の状態である。荒れて弱っている胃の粘膜を治す薬や食後に飲むと食べ物や食べ物の成分と結びついて吸収されにくい薬なら、食聞に指定される。
食後とは食後30分まで。食後すぐでもかまわない。食べ物が胃の中にあるので薬の吸収は緩やかだが、薬の刺激が少なく、胃の荒れを防いでくれる。食事が終わったときに飲めば習慣になりやすく、飲み忘れも少ない。
心筋梗塞VS狭心症
胸の中央部からみぞおちにかけての胸部全体に痛みを感じたら、狭心症か心筋梗塞の発作の可能性がある。
狭心症や心筋梗塞は、心筋に直結する冠動脈の内側にコレステロールなどがたまって血管が狭くなってしまったことにより起きる。すると、血液がスムーズに流れなくなり、心臓の筋肉に十分な血液が送れなくなってしまう。その結果、心臓が酸素不足や栄養不足になって胸痛発作を引き起こすのが狭心症である。痛み方は、胸への圧迫感や、しめつけ、息がつまる、焼けるような感じ、鈍痛など人によってさまざまだが、一時的な発作なので痛みは数十秒から数分でおさまるのが普通だ。
これに対し、狭くなった冠動脈の内側に血栓ができて、血液が送られなくなり、心臓の筋肉の一部が死んでしまった状態が心筋梗塞だ。同じ胸の痛みでも、狭心症とは比べものにならないほど強く、むかつきや脂汗を伴い、呼吸困難を引き起こすこともある。痛みの時間も長く、短くても30分以上。冠動脈がつまったままだと6時間ぐらいも発作が続くこともある。
神経内科VS心療内科
総合病院などに行くと、「神経内科」と「心療内科」があるが、その違いは素人にはわかりづらい。また、内科とはあるが、実際にはどのような内科的な治療が行われるのか、よく知らない人が多いだろう。
心療内科とは、心の影響を強く受ける体の病気を診察するところである。頭痛やめまい、動悸、不整脈、高血圧、喘息症状、腹痛、下痢といった症状が、心理的な問題のために起こっていたり、治りにくくなっている場合などが心療内科の担当となる。
たとえば仕事のストレスによってできた潰蕩や摂食障害、パニック障害などは心療内科の役割である。
神経内科は、純粋に脳や脊髄などの神経機能に異常がある病気を治療するところ。脳血管障害やパーキンソン病、痴呆や手足のしびれなどが神経内科の専門となる。
また、精神科は躁うつ病や人格障害など、脳神経は傷ついてはいないが、精神機能に障害がみられる症状が対象である。
つまり、ストレスなどが原因でも体の症状が強い場合は心療内科、精神的な症状が強い場合は精神科、しびれや頭痛といった症状があるなら神経内科を訪ねるといいだろう。
人工授精VS体外受精
不妊治療の最前線として注目されているのが、「人工授精」と「体外受精」。
両者は似たような言葉だが、その内容には大きな違いがある。
人工授精とは、採取した精液を注入器具を使って子宮内に直接注入する方法。
女性側に排卵障害や卵管障害、着床障害がないことが前提に行われる治療である。乏精子症や精子無力症など精子に不妊症の原因があると考えられる場合や、女性性器の異常などで性交障害がある場合に適応される。
最近では精液を直接注入するのではなく、運動精子のみを選別して注入する方法が普及しており、こちらのほうが妊娠率が高く、比較的副作用も少ない。人工授精と聞くと人工的な感じがして抵抗を感じる人もいるだろうが、不妊の高度医療の中では最も自然に近い形で行われる治療法である。
それに比べて体外受精とは、体外で受精を行う方法であり、女性の卵子を取り出し、人工的に受精させた卵を体内に戻すもの。女性に卵管障害があるなど、体内での受精が難しいと考えられる場合に有効な方法だ。
人工授精を何度行っても妊娠しないケースや、子宮内膜症のために妊娠できない場合などにも施行されている。
整形外科VS形成外科
「整形外科」と「形成外科」。この二つは似ているようでも異なる科である。
打撲や骨折、肩こりや腰痛、坐骨神経痛やリウマチ、関節痛などは、迷うことなく整形外科に行けばいい。整形外科とは、腕や手、下肢のすべての神経・筋肉・関節と背骨のすべての疾患を受け持つ場所。つまり、運動器官が故障したら整形外科へ行けばいいというわけだ。
これに対し形成外科は、身体の表面や形を扱う場所。やけどや怪我などでできた傷や、がん手術などで失った組織や機能の回復、外形の変形の治療などは形成外科の仕事。
整形外科は、筋肉や骨の障害をより機能的に改善することを目的としているのに対し、形成外科は、外表の欠損や変形などを形態的に改善することを目的としているわけだ。
つまり、美容整形は形成外科の一種であると考えられる。
整体院VS整骨院
「整骨院」とは、人間の自然治癒力を引き出して怪我を治すところ。柔道整復師資格という国家資格を取得した人が経営する治療院であり、保険が適用される。治療法は各治療院によって異なるものの、一般的には視診・触診・検査などを行う。
整骨院と同じような治療を行う治療院としては、「整体院」もある。整体院では整体師が治療を行っているが、整体師は民間資格なので、法律では医療行為としては認められていない。したがって整体院での治療は保険適用とはならず、治療にはそれなりの費用がかかることもある。
しかし最近では、カイロプラクティックなどの民間療法や東洋医学が見直され、整体師の技術も高く評価されている。
赤血球VS白血球
血液中の血球には、呼吸色素ヘモグロビンを持つ「赤血球」と、呼吸色素を持たないことから赤血球に対する名で呼ばれる「白血球」がある。
これらにどんな働きがあるか、なんとなく知っているが、よくはわからないという人が多いはずだ。両者の働きはまったく異なる。
全血液量の45%、有形成分の大部分を占める赤血球は、骨髄で作られる。肺で受け取った酸素を各細胞に運び、不要な二酸化炭素を回収して体外に排出するのが赤血球の役割だ。
呼吸色素が血球に含まれているのはごく一部の動物のみで、多くは血漿に溶けて血管内を流れている。一般に、血管系の発達が悪い無脊椎動物では赤血球の発達もよくない。
一方白血球には、体内に侵入した細菌や異物を取り込み、消化して無毒化する働きがある。したがって体内に細菌が入り込んで炎症を起こすと、骨髄で白血球が盛んに作られて血液中の白血球は増えるわけだ。
白血球は変動しやすく、ストレスや喫煙によっても数値が上がる。
痴呆VS物忘れ
年をとると「物忘れ」がひどくなったり、新しいことを覚えにくくなったりするものだが、それが「痴呆」だとは限らない。
人間の脳は40歳を過ぎた頃から老化が始まっていく。そのスピードや程度には個人差があって、50歳前後でかなりの物忘れを引き起こす人もいれば、80歳になっても頭脳明断な人もいる。
しかし物忘れの症状は、「思い出せない」というだけで、なにも本当に忘れてしまったわけではない。物忘れは、脳の引き出しにはちゃんと情報が入っているのに、脳の老化によって情報がなかなか取り出せなくなっているだけである。一方で、痴呆は脳の老化によって引き起こされるものではない。痴呆症は、一度獲得した知能が、脳の後天的な変化によって著しく低下した状態のことである。つまり脳の障害によって生じた病気なのだ。
数日前に会った人の名前が思い出せなかったりメガネの置き場所を忘れる程度なら、単なる物忘れの範疇だが、その人に会ったという経験そのものを忘れてしまったり、日頃行っているご飯の炊き方がわからなくなったというようならば、痴呆症の初期症状の疑いが強い。
中性脂肪VSコレステロール
「中性脂肪」と「コレステロール」は、どちらも多すぎると健康を損なう恐れがあることは広く知られているが、じつは人間のエネルギー源であり、なくてはならない存在でもある。
中性指肪は体内の脂肪の9割を占めており、体を動かすときに必要なエネルギーの貯蔵庫だ。摂取した糖質やタンパク質、脂質のうち、余分なものが皮下の脂肪組織や肝臓に貯えられ、必要に応じて脂肪酸になって、エネルギーとして使われる。
これに対してコレステロールは体内の脂肪の1割を占め、体内の細胞膜を構成している成分だ。ホルモンや胆汁酸の材料として生命維持に重要な役割を果たしている。
吐血VS喀血
「吐血」とは血を吐くことだが、「喀血」はセキとともに血が出ることが多い。
吐血は口から十二指腸までの消化管から出血した血液が吐き出されることであり、原因としては消化管に病変があることが考えられる。嘔吐とともに血を吐くのが特徴で、血の色は暗褐色の場合が多い。
ただ、上部消化管からの出血で、出血後まもなく吐血した場合は鮮紅色の場合があるので、色だけで判断するのは早計である。喀血は、ほとんどが肺や気管支などの呼吸器からの出血で、色は鮮紅色。量は吐血ほど多くない。
すぐに生命に危険が及ぶということは少ないが、吐いた血液が気道を閉塞して窒息する場合があるので、顔を横に向けて気道を確保したほうがいい。喀血の場合、原因のひとつとして肺がんが考えられる。
な~は行
ニキビVS吹き出物
顔にプツプツとできる「ニキビ」は、20歳を過ぎると「吹き出物」といわれることがある。見た目は変わらないのに、ニキピと吹き出物はどう違うのだろうか。
じつはニキビと吹き出物は、名前が違うだけでなく、できる原因も異なるまったく別ものである。
10代のニキビは、皮脂の分油が活発になることで毛穴が詰まることによってできる。ところが20代からできる吹き出物は、肌のうるおい不足が原因でできていることが少なくないのだ。うるおいが不足したことで角質層が乱れて硬くなり、肌荒れを起こして毛穴が詰まると、吹き出物を作り出してしまうのである。思春期のニキビならばこまめに洗顔して過剰な皮脂を取り除けばいいが、うるおい不足からの吹き出物は、あまり洗いすぎるとますます水分が不足して悪化してしまうのだ。
また、寝不足が原因で吹き出物が出ることもある。新陳代謝が十分に行われなかったことによるうるおい不足が原因である。
他にも便秘によって老廃物が体内にたまったり、仕事などのストレスから皮脂が増えたり、生理の前後にホルモンバランスが崩れるために肌の皮脂成分の働きが活発になって吹き出物が出たり。大人の吹き出物は原因がさまざまあり、じつに複雑だ。
捻挫VS挫傷
「挫傷」とは、肉離れや筋違いなどの正式名称である。筋肉や腿(筋肉を骨にくっつけている組織)が無理に伸ばされてしまった状態だ。少し伸びた程度なら比較的早く治るが、完全に断裂した場合は完治までにかなりの日数が必要となる。
一方「捻挫」とは、骨と骨をつないでいる靭帯の外傷のこと。靭帯は、関節が範囲を超えて曲がったり伸びたりしないように支えているところだが、靭帯が支えきれないほどの衝撃が加わると、伸びたり切れたりしてしまう。これが捻挫である。
熱射病VS日射病
「日射病」と「熱射病」は、どちらも代表的な熱中症の症状である。
日射病は、いわば脱水状態。炎天下に直射日光の下で長時間立っていたり、スポーツや激しい労働などで汗が大量に出ることで体の水分が足りなくなる。
心臓へ戻る血液が少なくなって、顔色は青ざめ、大量の汗をかき、頭痛やめまいも伴う。日射病になると、急激に体温が上がるようにも思えるが、じっさいはそうでもない。発汗で熱が奪われるので、体温は上がっても37~38度程度。十分な水分の補給が必要なので、倒れたらすぐに木陰などの涼しい場所に移して、薄い食塩水やスポーツドリンクなどを摂るといい。
これに対して熱射病は、熱が体にこもってしまい、高い体温に対処しきれない状態だ。高温多湿の下で長時間激しい労働やスポーツをしたときのほか、夏に閉めきった部屋や車の中にいたとき、冬に暖房のよくきいた部屋で厚着をしたときなどにも起こりがちだ。
熱射病は日射病とは反対に、顔面が紅潮し、汗はかかず皮膚が乾燥する。体温も40度以上に急上昇して全身が熱くほてり、頭痛や吐き気、けいれんなどを伴うことがある。
熱射病の場合は、何より熱を逃がすことが大事。涼しいところに行って、冷たいタオルで体を拭いたり風に当たったりするとよい。
白内障VS心緑内障
俗に「シロソコヒ」といわれる「白内障」、「アオソコヒ」といわれる「緑内障」は、名前は似ているものの、症状がまったく異なる。
白内障は、レンズの役割をしている目の水晶体が白く濁る病気だ。水晶体は、1種類の細胞とそれが変化した線維だけからできているため、異状があってもあまり痛むことがない。水晶体が濁ってしまうので、視力が落ちる。
白内障は中高年に多く、90歳以上だとほぼ100%かかっているともいわれる。
一方の緑内障は、眼圧が高くなることで視神経が圧迫されて視野に障害が起きる病気だ。
正常な目は、毛様体から眼球の中に房水が流れ入り、出ていく。常に目の中全体が湿ったゴムのボールのような状態になっているわけだ。
ところが、何らかの原因で流水がうまくいかないとボールがパンパンにふくれたようになる。これが緑内障である。
急性の場合、激しい眼痛、頭痛、吐き気などを伴い、数日で視力が失われることもある恐ろしい病気だ。
貧血VS低血圧
めまいや立ちくらみは、「貧血」の人や「低血圧」の人に共通して起こる症状である。しかし、じつは両者はまったく別の病気。
貧血は、ある一定量の血液の中に含まれる赤血球、またはヘモグロビンが正常値以下に減少した状態のこと。ヘモグロビンが不足すると酸素が体の細胞に十分に行きわたらなくなり、体が酸欠状態になって立ちくらみやめまいが起こる。
原因の多くは鉄分不足。無理なダイエットなどをすると貧血になりやすいのもこのためだ。
一方低血圧は、その名のとおり血圧が低い状態をいう。血圧というのは血液が動脈を通るときに血管壁に及ぼす力のこと。一般に血圧の「最大(上)」というのは血液が心臓から続く血管(大動脈)へ押し出されるときの値で、「最小(下)」は体を巡っていた血液が心臓に戻ってくるときの値である。
厚生労働省の国民栄養調査では、最大血圧が90以下の場合を低血圧としているが、血圧には個人差があるため、男性で105、女性なら1OO以下を低血圧とする考え方もある。
ま~や行
虫歯VS歯周病
「虫歯を防ぐ」「歯周病を防ぐ」などというけれど、この二つの違いは何だろうか。「虫歯」とは歯の硬組織が破壊されていくものであるのに対し、「歯周病」とは歯肉や歯槽骨など、歯を支えている組織が破壊されていくものである。かつては歯槽膿漏と呼ばれていたが、最近では歯周病とか歯周疾患と呼ばれていることが多い。
原因はどちらも細菌。歯の表面につく白っぽいネバネバした汚れはプラーク(歯垢)と呼ばれ、単なる食べかすではなく、生きた細菌の集団である。食べ物の残りかすが歯に付着すると、細菌によって分解されて酸となり、この酸が歯のエナメル質を溶かして虫歯になる。
この細菌が、歯ではなく、歯肉や歯槽骨などを破壊していくのが歯周病。最初は歯肉が赤くなったり腫れたりするだけだが、これをほうっておくと歯周ポケットができてプラークがたまりやすくなり、ますます炎症が進んでしまう。
ら~わ行
レム睡眠vsノンレム睡眠
人間の睡眠は、「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」が繰り返されていることはよく知られている。
レム睡眠とノンレム睡眠を分けている「レム」とは、眠っているときにまぶたの下で眼球が激しく動く運動のことだ。
レム睡眠では、この眼球運動が見られ、1回の平均時間は15分で、一晩に4~5回出現する。このレム睡眠のときには、体は活動を休んでいるのに、脳の眠りは浅く、ほとんどの人が夢を見ている。
レム睡眠以外の眠りがノンレム睡眠であり、ノンレム睡眠のときには、急速な眼球運動は見られず、深い眠りに入っている状態といえる。
しかし一口にノンレム睡眠といっても、眠りの深さによって4つの段階に分かれていることを知る人は少ないかもしれない。なかでも眠りの深いノンレム睡眠である第三段階と第四段階は、脳波に「徐波」と呼ばれる遅い波が多いので、「徐波睡眠」と呼ばれている。この徐波睡眠は、大脳皮質が休息する最も深い眠りと考えられている。
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