平均床面積ランキングを見ると日本の家が狭いというのは思い込み

1.日本の家が狭いという思い込み!よく日本人の旅行客から聞くクレームというものがあります。これはヨーロッパならではのクレームなのですが、
「床にスーツケースを開けて広げられないほど部屋が狭いのよ!」
「日本人が小さいからって、わざと狭い部屋をあてがったりして」
「そりゃわたしたちは日本人だもの、たしかにうさぎ小屋に住んでいるけど、海外にまでこんな仕打ちはないんじゃないの?」
と挙げ句には、目に涙をいっぱいにためる中年のご婦人までがいました。

これはすべて誤解に満ち溢れています。ヨーロッパ人が広い部屋に住んでいると、どうして思い込んでいるのか?ここで疑問が生じます。
それはきっと、われわれ日本人がうさぎ小屋に住んでいると思っているからに他ありません。
ここでひとつのデータを見てもらいたいのですが、一軒当たり平均床面積(㎡)です。
2.一軒当たり平均床面積(㎡)
1位 アメリカ 162
2位 ルクセンブルク 126
3位 スロベニア 114
4位 デンマーク 109
5位 日本 94.85
6位 オーストリア 92
7位 フランス・ドイツ 90
9位 チェコ 84
10位 ポルトガル 83
ランキングでアメリカが断トツ1位になったのは、たぶん想像どおりだと思います。日本の5位はきっと想像を超えているのではないでしょうか。

実は意外と日本の家屋は広いんです。きっと知らない人が多いのでしょうが、このデータを見せて説明できていたなら、そのような人も納得してくれるでしょう。

ではどうして日本人は、うさぎ小屋に住んでいることになっているのでしょうか?

資料によれば、ECで日本の報告書をつくったおりに、当初フランス語で日本人は「cage a lapins」に住んでいると報告されていました。

これが英語に直訳というか、誤訳されて、日本語で「うさぎ小屋」となったのです。しかし「cage a lapins」というフランス語は、「都市型の集合住宅」といった意味もあり、これから連想されるのは、当時開発されていた高島平などの巨大集合住宅だったのです。

これは推測に過ぎないですが、ガイジン=デカイ広い家に住む=アメリカ人が転じて、ヨーロッパ人への誤解へとつながっていったのではないでしょうか。

日本では、「欧米」と言われるくらい、ヨーロッパとアメリカがごっちゃに扱われることが多いです。
でも現実は、ヨーロッパとアメリカは全然違っていたりするものです。

たとえば、ヨーロッパのホテルは2つのタイプに分類される。ひとつはヨーロッパタイブ、もうひとつがアメリカタイプです。
ヨーロッパタイプのホテルに泊まったのなら、調度品や飾ってある絵画、古さを楽しみ、でもときに、部屋の狭さと水回りの悪さを我慢する必要があります。

バスタブはあっても栓がないのはしょっちゅうなので、ガムテープを小巻きにして持っていくと助かります。
日本のガムテープほど安価で品質のよいものは、世界のどこでもあるものではなく、何度海外で、ガムテープ探しに走ったことか。そして間違いなく日本のガムテープは世界ナンバー1です。

日本人は中古物件を嫌っている?
住宅について、私たち日本人はどうしても築年数の新しさに価値を置いてしまいがちです。中古流通シェア統計を見てみても、年度によって多少の上下はあるにしろ、イギリス90%弱(88%)、アメリカ80% 弱(77%)、フランス70%弱(66%)に対して日本は10%強(13%)となっています。理由のひとつとして、日本では、修繕しても15~30年程度で価値が消滅してしまうことがあげられるかと思います。税務上でも住宅は「耐久消費財」扱いされ、よって約30年で建て替えられるのが一般的です。

それには資金が必要となりますので、ますます修繕に費用をかけなくなるという悪循環になっているように思えます。反対に、ヨーロッパ、特にイギリスでは、補修に補修を重ね、築100年を超える古い煉瓦づくりの家に住む人が多いですよね。理想の家は時間をかけてつくり上げるものだという考え方があり、便利であることよりも耐久性や歴史に重きを置くところがあります。オーストラリアでもDIY (Do It Yourself 生活空間をより快適にするために専門業者に任せずに自らの手で工事すること)が浸透しており、ちょっとしたリフォームなら自分たちでやっていましたし、一から家を自分でつくる友人もいたほどでした。

他の理由としては、日本における台風などの気候的要因や地震の多さ(マグニチュード6.0以上のものの約2割が日本で起こっているといいます)もあげられるかもしれません。とすると、それらに耐久しうる構造でなくてはなりませんよね。

逆にいえば、地震が多く起こる日本の建築における耐震技術は、世界で最も進んでいるということです。また近年では、耐震以外にも、制振(建物全体で地震エネルギーを吸収)、免震(基礎部分で地盤の揺れを逃す)の技術が、高層ビルなどの大型建築物だけでなく、一般住宅にも用いられるようになっています。法隆寺は、世界最古の木造建築物として有名ですが、当時から耐震技術が使われていたといわれていますね。
バキスタン人の友人は、最初は驚いたものの、今では人に「今、地震?」と聞かれるまで気づかなくなったそうです。






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