日本のタタミが生活スタイルの違う他国で認められているのはなぜ

1.たたみ衣・食・住は、「生活の最も基礎となる条件」「生活のもとい」(『広辞苑』)とされている。とはいえ「衣食足りて礼節を知る」の言葉があるように、まずは生活の保障の順序は、日本文化の中では衣食に優先権が認められていたのだろう。住に豊かさを求めるのは、衣食が足ってからということか。

日本の生活文化の中では、しかし「衣」は、いわゆる和服を考えればわかるように海外にあまり普及しないものに属する。とりわけ「食」にくらべて、海外での受容はほとんどない。

だが最も普及していないものが「住」ではないか。ウサギ小屋を取り入れたいと思う人が少ないからではないだろう。タタミや風呂など、住の部品の取り入れも少ないように思う。

「住」の「部品」とは何かが明確でなければならないとはいえ、日本食や日本生まれの電化製品、ゲーム等とは比べものにならないほどの普及率の低さだろう。

フランス語には「タタミゼ」(TATAMISER)という言葉がある。ふつう「日本化」を意味するようだが、ときには日本好き、あるいは日本狂いといったニュアンスを持つらしい。わからないのはその真意、日本の文化にかぶれるときのきっかけがタタミであるというような、 日本文化への入り口にタタミを考えているのか、それとも難解な日本文化を理解できた「あがり」の段階、つまり日本びいきのきわまった段階をタタミで象徴させているのかがはっきりしない。

私はどうも日本びいきの「あがり」の状態を指しているのがタタミゼだと考える。
というのも、タタミの普及は日本文化の中でも至難の部類に属するように思うからである。タタミの生活を維持するためには、暮らしをすべてこれにあわせなければならない。

布団、座り机、お膳などの生活「部品」の調達をはじめ、建物自体も玄関で靴が脱げるように段差をつける必要があるし、一日に何度も足を折り曲げ座ったり立ったりを繰り返せる、大げさにいうと「身体の改造」までいる。

海外の住生活にどのような日本文化が受容されているのか、タタミや風呂、庭そして家庭電化製品など、住生活をめぐる装置と部品の普及を見てゆこう。





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