日本の供養という文化は外国人にとって新鮮な考え方だった

1.日本のクヨー(供養)
外国人が驚く日本人気質があり、先祖をはじめ様々な命を供養する習慣です。 外国人からみた弔うという国民的意識は非常にミステリアスなのです。 外国人が日本に遊びに来たとき、墓参りを見たいという珍しい人がいました。

築地の魚河岸でもなければ、銀座や原宿でもなく、墓参りなのです。日本人らしい儀式を見たかったのでしょうか。

お盆や周忌に先祖の墓参りをするのは、メモリアルデー(戦没将兵追悼記念日)やサンクスギヴィング(感謝祭)などの祭日にアメリカ人が行うのと同様、ごく一般的な日本の行事です。

だが、日本のクヨー(供養)は、生まれてこなかった胎児の水子供養、食べた魚や動物を供養する供養碑、そして、玉子焼きを作るために使った卵の供養など、今まで欧米人が気にも留めたことのない逝った命へのオマージュを形にしたものだったのです。 確かに築地に足を運ぶと「玉子塚」なる卵を供養する塚があり、水天宮は水子供養で有名な東京下町の神社です。

アメリカでは、堕胎した胎児を弔って墓碑を建てるなんていうことはありません。 賛否両論あるけど、生まれそこなった命はちゃんと葬ってあげないと…。ペットセメタリー(ペット霊園)は一大産業なのに、私たちを生かすために食された生き物に感謝するクヨーは、アメリカ人が日本人から見習うべき習慣のひとつかもしれません。

でも、肉食大国のアメリカならではの食肉塚、パンケーキやドーナツに使われる小麦供養なんていうのはさすがにおおげさかもしれません。やはり供養という文化は、なにごともありがたいと感じる日本人にしかできない儀式なのかもしれません。


「共に祝う」ということ
共存共栄が国民性のひとつである日本人は、共に祝うことも大好きです。観光名所、レストラン、ショッピングセンター、果ては駅ビルや病院まで、とにかく新しい門出を祝い、祝福されるのを格別に喜ぶ民族なのです。

実は、アメリカのipadの行列や、話題の映画の公開初日の行列なんか、日本人の開店行列から比べれば小規模でかわいいものです。ちょっと待たされただけで文句ブーブーのアメリカ人と違って、お目当ての品物、食べ物、イベントのためなら、何時間でも理路整然と文句もいわずに列に並ぶ、世界一忍耐力のある人種なのです。

例えば、東日本大震災で大きな被害を被った気仙沼漁港が再出発したときも、ご祝儀相場という特別な市場価格が設定されたけど、それも新たな門出を景気づける起爆剤というか、心配りというか、とにかく日本人の心意気がハッキリと見える風習です。買う方も売る方も、再興という一つの着地点に向かって心を一つにするきっかけであると同時に、お金を消費して傷ついた人の心を元気づけるという深い意味合いもあるのです。

アメリカの25分の1くらいの国土に、アメリカ人口の3割もの人間が住んでいる日本では、お互いを励まし合いながら、自分も周囲も元気になる手段を考えながら生きないとパンクするかもしれません。

だから、様々な命を供養し、新たな出発を祝い、再興のための市場を損得抜きで作ったりして、元気に生きようと努力しているのです。 様々な外国人と接して常に思うことは、日本人がいかに「元気」という要素を大切にしているかということ。

「元気の源」「元気印」「元気が一番」と、とにかく元気を意識して暮らす、世界でも有数の民族である日本人は、すべての気の元となる元気こそが、ピンチをチャンスに変え、挫折を成功に変換し、災害の爪痕から再興するエネルギーになるのだと、世界に大声で発信しているように見えるのです。

さまざまな種類のある元気ドリンク発祥の地である日本。それを真似してか、今アメリカのコンビニではエナジー(エネルギー)・ドリンクが大流行です。 ビジネスマンや労働者が、小さなアルミ缶のドリンクをゴクゴクと飲む姿を見るたびに、日本人という生き方が少しずつ世界に波及している気がして仕方がないです。





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