1.日本語で似ている意味の言葉の正しい使い分け│社会編

→あ~か →さ~た →な~は →ま~や
日本語は世界の言語と比べても驚くほど語彙数が多いのが特徴です。多彩な表現ができる一方で似たような意味の言葉もたくさんあり、迷うケースも少なくありません。

ここでは社会に関する勘違いしやすく、間違えやすい日本語を紹介します。

あ~か行
IS09001vsIS014001
ISOとは「International Organization For Standardization」の略で、「国際標準化機構」という組織。1947年に創設された非政府組織で、スイスに本拠地を置く民間の機関だ。
ISOは、「電気、電子以外の分野の製品やサービスの国際的な交換を容易にし、知識、科学、技術、経済に関する活動の国際的な協力を促進するために国際標準化を推進する」ことを目的としている。
ISO規格にはさまざまなものがあり、番号は発行順につけられたものだ。世界で共通のISO規格には、ねじ、フィルムの感度、非常口の表示といった身近な製品が対象になっているだけでなく、ISO認証取得企業として公表されることの多い、「IS09001」「IS014001」といったシステム規格もある。
ISO9001は、品質管理のあり方をマネジメント面からどのように行うかを記載している規格だ。企業や団体など組織の「品質保証体制」そのものに対して要求事項を示している。取得しても製品に認証マークはつけられないが、名刺や会社案内でアピールすることはできる。このほか全部で5つの規格があるIS09000シリーズは、顧客に対する品質保証の仕組みの規格だ。lSO14001は、国際的な環境マネジメントに関する規格で、地球環境問題への取り組みが活発になるなか、
1996年に発行された。あらゆる業種、規模の組織に適用可能で、各組織が環境マネジメントをどのように行うべきか定めたものだ。


アルカリ乾電池vsマンガン乾電池
乾電池には、「アルカリ乾電池」と「マンガン乾電池」の2種類があるが、たいていはアルカリ乾電池のほうが値段が高い。同じ機器にどちらの電池でも使えるが、なぜ2種類あるのだろうか?
アルカリ乾電池もマンガン乾電池も、形や電圧は同じである。しかし、マンガン乾電池よりもアルカリ乾電池のほうが大きな電流を流せて、しかも長持ちする。そのため、デジタルカメラやビデオムービー、コードレス電話など、大きな電流を使う機器や連続で長時間使用する機器には、アルカリ電池のほうが適している。
ただしマンガン電池は、アルカリ電池に比べると性能が劣るかわり、休ませている間に少し電圧が回復するという利点がある。この利点から、電卓や懐中電灯やリモコンなど、小さな電流で短時間ずつ休み休み使う機器には、マンガン電池が向いている。


EメールvsWebメール
「Eメール」は電子メールとも呼ばれ、今や携帯電話のメールとともに、老若男女を問わず普及している。
ただ、Eメールにはひとつやっかいな問題がある。個人や会社などのパソコンに届いたメールを、出先などで確認できないという点である。これを解決したのが「Webメール」。webブラウザで利用することができる電子メールシステムである。すべてのメッセージをサーパ側で管理しているため、インターネットさえつながるなら、受信したメールの閲覧や新規メッセージの作成・送信などが、どのパソコンからでも可能なのだ。webメールとしてはhotmailが有名である。
これを利用すれば、パソコンを持ち歩かなくても、メールのチェックや送信は簡単。旅行や出張の場合に、とても便利だ。


インターネットvsイントラネット
世界中のコンピュータを結ぶネットワークシステムが「インターネット」。
それぞれのコンピュータがIPアドレスを持つため、コンピュータ同士でも相手を間違えることなく情報のやりとりができる。
インターネットとよく似たものに「イントラネット」がある。これは、インターネットの情報交換技術を、規模こそ小さいが企業や特定の組織内だけで生かそうというもので、安価にネットワークを組むことができる。
イントラネットは、あくまで企業内の社員だけを対象にして、会社が必要な情報を提供するのに都合がいい。
ホームページを共有したり、LANの電子メールとインターネットのEメールとを複合的に利用できたりとメリットが大きいところから、1995年頃から構築する企業が増えているようだ。


AM放送vsFM放送
AMは「Amplitude Modulation(振幅変調)」、FMは「Frequency Modulation(周波数変調この略である。どちらも電波で音声信号を運んでいる点は同じだが、その運び方が違っている。
音波と電波はともに波だが、音波を大波とすれば、電波がさざ波というほど、波の大きさに違いがある。音を放送で送るには、さざ波で大波のかたちを伝えなければならないことになる。
「AM」では音声の音波を、電波の振幅(電流の強さ)の変化として送っている。この方式はシンプルで受信機のコストも安いが、雑音を拾いやすいのが欠点だ。
一方「FM」では音声の音波を、周波数(振動数)を変えて送っている。この方式は安定性があり、ステレオ放送などができるため音楽番組などに適しているが、広い周波数幅が必要になる。
アナログのテレビ放送では、映像はAM波、音声はFM波を使っている。雷のときなどで、映像は乱れていても音声ははっきりしていることが多いのは、FM波のほうが安定しているからだ。


営業利益vs経常利益
「営業利益」と「経常利益」、両者の違いは、ひと言でいえば、営業外損益を入れるかどうかにある。営業利益は、営業外損益を加減しない。企業が本来の目的とする活動から生じる営業収益と、そのために要した営業費用、つまり営業費(販売費+一般管理費)+売上原価の差額をいう。
一方で経常利益は、営業利益に営業外損益を加減したもの。営業外損益は企業の活動に付随して反復的に生じる財務上の損益で、預金などによる金利、借金による金利負担などを含む。
営業利益がよくても経常利益がよくない会社は、借金が多く、財務内容が好ましくないといえる。投資の判断材料となる企業の経営上の健康状態は、経常利益で評価されることが多い。


NPOvsNGO
ニュースを見ていると、「NPO」と「NGO」という語をよく耳にする。
どちらも団体の総称だということはわかるが、どう違うのだろう?
「NPO」は、「Non Profit Organization」の略で、「民間非営利組織」と訳される。政府に属さず、利益を構成員に分配せずにすべて活動に利用する組織という意味である。もう一方の「NGO」は、「Non Governmental Organization」の略で、「非政府組織」と訳される。こちらもNPOと同じく、政府に属さない非営利組織なので、実質的にはNPOとほとんど変わらない。ただしNPOが「非営利」という要素を重視しているのに対して、NGOは「非政府」という要素を重視しているという違いがある。
また、NPOはどちらかといえば国内的な概念であるのに対し、NGOは海外協力や国際交流などに取り組む団体が多い。そのためNGOは、国連をはじめとする国際会議などで、正式な参加国以外に参加している民間の国際協力団体を指すのに使われることがある。


買取りvs下取り
車やバイクを売るとき、「買取り」「下取り」という言葉が使われる。両者の違いは、愛車を売ったその店で、次の車やバイクを買うかどうかによる。
買取りは、今乗っている車を売って現金を受け取ること。同様に車を売ったとしても、売ったその店で次の車を買うときは下取りという。いずれにしても、売る車の車名、グレード、年式、走行距離、色、ミッションなどの基本価格に、程度や装備をもとに買取り価格、下取り価格は算出される。
しかし、買取りと下取りでどちらが得かはいちがいにはいえない。買取専門店は高値の買取りが売り物だが、正規ディーラーは自社の車だと優遇することがあるし、中古車専門店も「下取り強化キャンペーン」を行ったりするようだ。


化学繊維vs合成繊維
綿や絹や羊毛など、天然の動植物の繊維を加工した繊維を天然繊維と呼ぶのに対して、ナイロンやポリエステルやアクリルなどは「化学繊維」と呼ばれる。
では、「合成繊維」とは何か?合成繊維も化学繊維も同じようなもののイメージを持っているが、そうではない。じつは、合成繊維は化学繊維の一種なのだ。
化学繊維というと、石油や石炭を原料にして作られた繊維というイメージが強いが、実際はもっと広い範囲を示している。天然繊維ではない人工的な繊維は、すべて化学繊維に含まれるのだ。そのうち、石油や石炭などを原料にした高分子化合物を紡いで作った繊維が、「合成繊維」と呼ばれている。
ナイロンやポリエステルやアクリルなどは、化学繊維のうちの合成繊維だが、化学繊維にはこうした合成繊維のほか、天然の繊維を溶かして作るレーヨンなどの「再生繊維」、天然の繊維を化学的に処理して作るアセテートなどの「半合成繊維」もある。


株式会社vs有限会社
企業の名称をみると、前か後ろに「株式会社」とつく会社もあれば、「有限会社」とつく会社もある。
株式会社のほうが大きな会社ではないかとは見当がつくが、具体的に違いを知っているだろうか。
株式会社も有限会社も、出資者の責任が出資額を限度とする有限責任という点は共通しているが、有限会社は株式会社より組織や運営が簡素になっている。
たとえば資本金の最低額は、株式会社では1000万円だが、有限会社は300万円でよい。
そのかわり、株式会社は株券を発行して不特定多数の人から資金を集めることができるが、有限会社では、出資者の人数は50人以下に限定されている。
そのため、有限会社は大規模な会社になることはない。


幹事長vs政務調査会長vs総務会長
政治の報道では、自民党の「党三役」という名をよく耳にする。「幹事長」「政務調査会長」「総務会長」は合わせて「党三役」と呼ばれるが、この三つは、それぞれどんな立場なのだろうか?
三役を地位の高さで比べてみると、幹事長、政務調査会長、総務会長の順になる。
三役の中でいちばん地位の高い「幹事長」は、総裁に次ぐ党のナンバー2。
首相として国政に忙殺される総裁に代わり、実質上党内の権限を一手に担っている。
幹事長に次ぐ「政務調査会長」は、「政調会長」と略して呼ばれ、党の政策を決定するという重要な仕事をしている。
最後の「総務会長」は、党のまとめ役だ。党の議員たちの不満をなだめたり、議員たちを一つの方向にまとめていく。
それぞれ、自民党内部の役職でありながら、その影響力は閣僚より大きいといわれ、政界での権力はかなりのものである。


喫茶店vs純喫茶
「喫茶店」のなかには、たまに「純喫茶××」といった名のついた店を見かける。入ってみれば、普通の喫茶店と変わりがないように見えるのだが。
明治から大正、昭和にかけて、住宅事情の悪さからか、とくに東京では自分の空間を求める人々が喫茶店にやってきた。そのため名曲喫茶やジャズ喫茶など、さまざまな喫茶店が登場してそれぞれ文化を育んでいた。
だが、時代とともに、喫茶店にも不純な営業を行う店が登場し、ウェイトレスのいかがわしいサービスが話題にのぼるようになってしまう。
そこで、当時の不純な喫茶店と区別するために、純粋にコーヒーだけを楽しむための店が「純喫茶」と名乗るようになったのである。今日、「純喫茶」を名乗っている店は、その頃の名残りといえる。


銀行VS信用金庫
銀行も信用金庫も、お金を預けたり、公共料金などを振込んだり、送金したりと、一般の利用者からすると同じような仕事をしているように見える。
ではどうして、「銀行」と「信用金庫」と呼び分ける必要があるのか?
銀行と信用金庫は、名称が違うだけではなく、組織のあり方が大きく違う。銀行は不特定多数の個人と企業のための金融機関だが、信用金庫は、特定の地域の住民や中小企業のための金融機関なのだ。
この違いから、銀行は株主の利益を優先し、おもに大企業に融資して利潤をあげているが、信用金庫は地域社会の利益を優先し、従業員3000人以下で資本金9億円以下の中小企業や個人を取引先としているのである。


強盗VS恐喝
繁華街の路上でナイフを持った男たちに脅され、所持金をすべて奪われた。
こんなとき、法的に見て「強盗」か「恐喝」かと聞かれれば、どちらと答えるだろう。
「大辞林」では、「強盗罪」は「暴行・脅迫によって財物を奪い、また同じ方法によって自己もしくは他人に財産上不法な利益を得させることによって成立する罪」と定義されている。
一方で「恐喝罪」は「人を威嚇して財物を交付させ、または財産上不法の利益を得たり、他人にこれを得させたりすることによって成立する罪」と定義されている。「恐喝罪」のほうには、「暴行・脅迫」の代わりに「威嚇」という語が使われているが、それでも違いはわかりにくい。
判例では、強盗罪には、暴行や脅迫が「相手の抵抗を抑圧するに足りる程度であること」を必要とするとしている。つまり、相手が抵抗できる程度の暴行・脅迫なら強盗罪には及ばず、恐喝罪になるということだ。
最初に挙げた例なら、通行人などに助けを求めることができたと考えられるので、「恐喝罪」に当たる。


更迭VS罷免
「更迭」も「罷免」も、大臣などが不適切な発言や行動をしたときに、辞める=辞めさせることに対して使う。しかしこれらは、もともと異なる意味を持つ。
更迭とは、ある地位、役目にある人をほかの人と代えること。これに対して罷免とは、一方的に辞めさせることをいう。
内閣総理大臣(首相)には、国務大臣(閣僚)を任命するとともに罷免する権限が与えられている。ある閣僚が不適切な発言や行動をしたとき、辞めさせることができるわけだ。
しかし、罷免という強硬な手段をとると、辞めさせられた側のキャリアに傷がつく。そこで、その閣僚に辞表を提出させ、自ら辞任するかたちで役を退かせるケースが目立つ。
この場合、日本のマスコミは「事実上の更迭」という暖昧な表現をとることが多い。


子会社vs関連会社
大企業の会社概要などを見ると、たいていの場合、「子会社」または「関連会社」として、いくつかの会社名があげられている。この「子会社」と「関連会社」を同じものだと思っている人も多いはずだ。
子会社と関連会社は、それぞれの専門分野で親会社に協力している点は同じでも、両者の定義ははっきり区別されている。
「子会社」は、親会社の持株比率が50パーセント以上の会社だが、「関連会社」は、親会社の持株比率が20パーセント以上50パーセント未満である。
また、人事・資金・技術・取引などの関係を通して、親会社が営業や財務の方針決定に重要な影響力をもっている会社だ。


さ~た行
サイトvsホームページ
よく「サイトにアクセスする」「ホームページにアクセスする」などというが、サイトとホームページは違うのだろうか?
「サイト」とは、ひとまとまりに公開されているWebページ群が置いてあるインターネット上の「場所」のことであり、またはWebページ群のことを指す言葉でもある。一方「ホームページ」とは、そのサイトのトップページのこと。当初はブラウザ起動時に最初に表示されるページの意味であった。しかしいつしか意味が変化し、最近ではサイトとホームページは、ほぼ同義語のように使われるようになっている。
ちなみに、日本ではホームページと呼ぶが、欧米では単に「page」もしくは「web page」と呼ぶのが一般的だ。

財団法人vs社団法人
「社団法人」とは、一定の目的のために結合した人の集団が基礎となった法人である。つまり人が中心になって事業の運営を行う組織なので、社団法人を設立するには構成員である社員の存在が不可欠。社員総会も開かなければならないし、設立のための定款も社員が定めることになる。社団法人の目的は公益なものとされているので、個人が営利目的で設立することはできず、体育クラブや運動団体、社交的なクラブなどが社団法人に属することが多い。
それに比べて「財団法人」とは、公益を目的とする社団法人とは違って、ある目的のために提供された財産を運営するための法人。つまり寄付された財産が中心なので、社団法人のように人が集まって総会を開くことはなく、財産を提供して法人を設立した人の意思によって運営されることになる。
つまりは、主役が人なのか財産なのかが、両者の大きな違いというわけだ。


CCvsBCC
パソコンの電子メールでは、企業や商店が多数のユーザーに送る情報、同窓会や飲み会のお知らせなど、同じ内容のメールを複数に送りたいときには、メールを一つだけ作成して同送すればいい。「CC」または「BCC」の機能を使えば、同じメールを全員に送信できるのだ。
このうち「CC」は、「カーボン・コピー」の略で、送信先欄の「CC」に入力したメールアドレスは、各送信相手のメールに表示される。同じメールが誰に(どのアドレスに)送られたか、各々にわかるということだ。そのため、プライバシーの侵害にもなりかねない。
そこで、同時に送った人のメールアドレスを送信相手に伏せておきたい場合のために、「BCC」がある。こちらは「ブラインド・カーボン・コピー」の略で、「BCC」欄に入力したメールアドレスは、各送信相手のメールに表示されない。
送信相手が、お互いにメールアドレスを教えあっているような親しい間柄なら「CC」を使ってもよいが、そうでなければ「BCC」を使ったほうが無難だ。


CEOvsCOO
最近増えている「CEO」や「COO」は、日本では単純に社長と会長というように理解されがちだが、それだけでは説明が十分とはいいがたい。
CEOは「Chief Executive Officer」の略で「最高経営責任者」、COOは「Chief Operating Officer」で「最高執行責任者」とか「最高業務責任者」と訳される。つまり、CEOは経営、COOは業務の執行というはっきりした役割分担が決まっているということになる。
大人数の役員会で経営方針が決定される日本の大企業では、方針が現場に下りるまでの間に手続き上のロスが大きい。役員であると同時に現場のトップである執行役員を置くことで、意思決定から執行までをスピーディーにしようとするものだ。
このほか、CFO(最高財務責任者)、CTO(最高技術責任者)、(最高マーケティング責任者)などを置く企業も増えている。


GNP VS GDP
経済関係のニュースなどを聞いていると、よく「GDP」という語を耳にする。以前は「GNP」という語がよく使われたが、これらはどこが違うのだろう。
かつてよく耳にした「GNP」は「Gross National Product」の略で、邦訳すれば「国民総生産」となる。「国民が(ある一定期間に)得た付加価値」を指す用語だ。つまりGNPは、日本か海外かを問わず、日本の国民や法人が得たお金の合計である。
しかし国際化が進むにつれて、GNPだけを経済成長の指標とするのは不適切となり、代わってGDPが経済成長の指標となった。
こちらは、「Gross Domestic Product」の略で、「国内総生産」と訳される。
定義は「国内で(ある一定期間に)新たに生み出された付加価値」。つまりGDPは、日本人か外国人かを問わず、国内で支払われたお金の合計を指す。
GNPは、誰がお金を使ったかがポイントになるのに対し、GDPは、どこでお金が使われたかがポイントになるというわけだ。


自首VS出頭
どちらも、罪を犯した人が自ら名乗り出ていく、と捉えがちな「自首」と「出頭」だが、両者の意味するところは同じではない。
出頭とは、単に役所、裁判所、警察などの公的機関に本人が出向くこと。その際本人が犯人であると発覚した前か後かは関係ない。裁判所が被告人に指定の場所に出頭を命じることを出頭命令、裁判所に出頭させることを召喚という。自首とは、捜査機聞が犯人を割り出す前に、本人が自発的に出頭すること。
刑法第四二条一項によって、刑を減軽、または免除される事由となる。こちらは必ずしも犯人自らが出頭する必要はなく、第三者を介して申告することも認められている。


社長VS代表取締役
企業のトップは「社長」だが、たいていの社長の名刺は、どこの会社でも「代表取締役社長」となっている。「社長」だけで十分なのに、わざわざ「代表取締役」を前につけるとは仰々しいと感じてしまうが、じつは「社長」と「代表取締役」は同意義ではない。
商法で会社の代表者として正式に規定されているのは「代表取締役」であり、意外にも、「社長」については明確な規定がない。社長は、あくまで会社内部の指揮命令系統の最高責任者を指す語にすぎないのだ。
では、社長と代表取締役がつねに同一人物かというと、そうとは限らない。
代表取締役はひとりでなくてもかまわないからだ。ある程度以上の規模を持つ会社なら、社長のほか、副社長や専務や常務など、複数の代表取締役がいるのが一般的である。
また、社長を引退して会長になった人が、代表取締役のまま実権を握っている会社もめずらしくない。


上場株vs店頭株
株式は、上場株と店頭株に分けられる。「上場株」は、全国に5カ所、札幌、東京、大阪、名古屋、福岡にある証券取引所で取り引きされる株、「店頭株」は、そこで取り引きされない株だ。上場株は証券取引所で取り引きされるので、投資家は証券会社を通じて売買
の注文を出すことができる。上場株には、一部上場と二部上場の2種類があるが、上場するための基準は厳しく、その分上場企業の社会的信用は高まる。上場を目標にする成長企業が多いのは、資金調達や増資、起債に有利なためだ。
これに対する店頭株は、証券取引所で売買されず、証券会社の店頭で取り引きされることからこう呼ばれる。優良企業のなかにもあえて上場しない企業もあるが、上場しない企業は経営権に他人の手が関与することを嫌う同族会社が多いようだ。


職能給vs職務給
近年、日本の企業の給料システムが、従来の職能給中心から欧米式の職務給重視に移ってきたとよく聞く。ここで「職能給」と「職務給」の違いを整理しておこう。
日本の伝統的な給料システムの中心だった職能給は、従業員の職務遂行能力に応じて支給される。
そう聞くと、能力主義のように思うところだが、実際には、「仕事の遂行能力は個人の経験や年齢とともに向上する」という前提で職務遂行能力を評価される。このため、年功序列の給料システムになりやすいという問題を抱えている。つまり、職能給を中心に給料を決めると、高齢化社会で従業員の平均年齢が上がるにつれて、人件費が高くなることになる。
そこで、職務の困難度や責任度などに応じて、職務ごとに給料を決める「職務給」が重視されるようになってきたのである。
職務給は、仕事の内容別に賃金があらかじめ決められているため、同じ仕事なら誰がやっても同じ賃金となる。


税理士vs公認会計士
「公認会計士」や「税理士」といえば、お金に関するスペシャリストといったイメージはあるものの、両者の違いはわかりにくい。
公認会計士の主な業務は、企業の監査。依頼主は大企業であることが多く、会計事務所に所属して仕事をするのが一般的だ。株主、債権者、一般投資家などの保護を目的とした監査のほか、会計、決算がスムーズに行われるように税務を担当したり、経営に関しての指導、立案、助言、診断などを行ったりする「MAS(マネジメント・アドバイザリー・サービス」を担当するケースも増えている。
一方で税理士は、税務の専門家である。企業、個人の税務書類作成、提出代行が主力業務だ。こちらは独立開業者が多く、約8割が開業しているという。
なお公認会計士は、税理士登録をして税理士会へ入会すると、税理士としても業務を行える。


セスナvsグライダー
「セスナ」や「グライダー」は、手軽で少ない人数しか乗れない航空機である点は同じだが、セスナにはエンジンがあり、グライダーにはない。セスナとはもともと航空会社の名で、戦後、セスナ社の軽飛行機が多く輸入されたことから軽飛行機の代名調のように使われている。軽飛行機とは小型で取扱いが簡単な飛行機の総称で、もっとも多いのは2~6人乗り、100~300馬力程度の単発プロペラ機だ。
一方、グライダーは最大2人乗り。翼が長く、エンジンのない航空機だ。高い空の上から飛ばされた紙飛行機のようなもので、位置エネルギーを運動エネルギーに変えて滑走する。グライダーは、セスナなどの軽飛行機、またはワイヤーロープを高速で巻き取るウインチで引っ張ってもらって離陸し、高度600メートルで切り離されて飛ぶ。上昇気流がなければ15分くらいしか飛べないが、上昇気流をうまく捉えると好きなだけ飛べる。


摂氏vs華氏
温度計や体温計の目盛りは、日本ではもっぱら「摂氏(度C)」が用いられているが、そのほかに「華氏(度F)」という目盛りがあるのはよく知られている。海外では、今日でも華氏を用いている国も多い。
歴史は「華氏」のほうが古い。1724年にドイツのファーレンハイトが、当時作り出せた最も低い温度のマイナス32度Cを「O度F」、健康な男性の体温を「96度F」とした水銀温度計に始まる。
「度F」の「F」はファーレンハイトの頭文字で、「華氏」とは、中国で彼の名に「華倫海」の字をあてた頭文字から出た名称だ。
しかし、基準となる華氏温度が「健康な男性の体温」ではあいまいなので、1942年、スウェーデンのセルシウスが、1気圧での水の沸点を0度、融点を100度とする温度目盛りを作った。これが摂氏の始まりである。翌年、スウェーデンのリンネが、0度と100度を逆転させ、現在の摂氏を完成させた。
「度C」の「C」はセルシウスの頭文字と、センチ、グレード(100度目盛り)の頭文字という意味がある。「摂氏」は中国でセルシウスの名にあてた漢字の頭文字に由来する。


脱税VS申告漏れ
政治家や大企業、有名人などの「脱税」や「申告漏れ」は、懲りることなく毎年のように新聞などで報道される。
この「脱税」と「申告漏れ」は、同じように思われがちだが、そうではない。
脱税は、意図的に数字をごまかして所得を少なく見せる行為で、明らかな罪である。脱税した人が、税務当局の告発によって逮捕されることからもわかるだろう。
だが、申告漏れは、意図的なものではない。納税する側と税務当局との見解の相違から生じる場合がある。
もしも、確定申告に入れ忘れた収入があったとか、経費と認められない出費を経費に計上した場合でも、自主的に修正申告すれば、不足分の税額と延滞税を支払うだけですむ。しかし、税務署が調査後に修正申告を求めた場合、過少申告加算税を課される。


電気自動車vsハイブリッドカー
自動車の排出ガスは、大気汚染や地球温暖化の一因として問題視されている。
そこで近年、ガソリン車に代わるエコロジーな車として注目されているのが、「ハイブリッドカー」や「電気自動車」だ。
電気自動車は、いうまでもなく電気で動く車だが、ハイブリッドカーにも電気モーターが使われている。
発進時やブレーキをかけたときには、モーターのほうがエネルギーが少なくてすむが、長距離を走ったり高速で走るときには、ガソリンエンジンのほうが効率的だ。そこで、ハイブリッドカーは、ガソリンエンジンと電気モーターを使い分けて走るのだ。
電気モーターが使う電気は、電気自動車の場合、外部から充電しなければならないが、ハイブリッドカーのモーターが使う電気は、走行中に発電して充電するので、外部から充電する必要はない。
ハイブリッドカーのほうが便利だが、排出ガスの点でみると、電気自動車のほうが優秀だ。ハイブリッドカーの排出ガスが従来のガソリンカーの約半分なのに対し、電気自動車の排出ガスはゼロである。

電波vs電磁波
テレビやラジオ、携帯電話などは、いうまでもなく電波で画像や音声を送るが、同時に、「電磁波を出すから体によくない」などという声も聞く。
「電波」と「電磁波」は、いったいどこが違うのだろうか?
じつは、電波と電磁波には違いはあるものの、まったくの別物というわりでもない。電磁波は、電磁場の周期的な変化が空間などを伝わっていく横波のことで、周波数によって性質が大きく変わる。周波数は、高い順に、放射線・紫外線・可視光線・赤外線・電波に分けられている。つまり電波とは、電磁波のうちで、赤外線より周波数が低く、波長の長いもののことである。


倒産VS破産
不況のためか企業倒産のニュースがよく報道される。この「倒産」を、「破産」と同じだと思っている人がじつに多い。だが、じつは、倒産しただけでは、まだ破産するとは限らないのである。
「倒産」とは、会社の経営が悪化して債務の支払いが困難になり、事業をつづけられなくなった状態をいうが、まだ事業を再開できる可能性が残されている。
債権者たちの会議で再建の見込みがあると判断されれば、会社更生法の適用を申請するなどして、再建のチャンスが与えられる。
もしも再建の見込みがなければ、ここではじめて「破産」に至る。
「破産」とは、残っているすべての資産をもっても債務を弁済できず、再建も不可能な状態だ。
この場合、破産法に基づく法的手続きにより、債権者か債務者自身の申し立てによって、裁判所が破産宣告をする。すると、残された資産は地方裁判所の手続きによってすべて処分され、債権者に公平に分配されることになる。


トタンvsブリキ
トタン屋根などに用いられている「トタン」と、容器などに用いられている「ブリキ」は、光沢などがよく似ている。じつは、どちらも、鉄板を主材料にして、錆止めのために他の金属をメッキして仕上げた素材なのだが、メッキに用いる金属が異なるため、コストも用途も大きく違う。
トタンは、鉄板に車鉛をメッキして作られる。「トタン」という名称も、ポルトガル語で亜鉛を意味する「tutanaga」が語源だ。亜鉛でメッキするのは比較的簡単なので、トタンは価格を安くできる。そのため、屋根などの大物によく用いられるのだ。
だが、亜鉛は、人体には有毒な物質だ。
そのため、缶詰の缶などでは、鉄板に錫をメッキしたブリキが用いられるのだ。また、ブリキは、トタンよりもやや光沢があり、きれいなので、昔はよくオモチャに用いられていた。
このブリキの語源は、「薄鉄板」を意味するドイツ語の「blech」やオランダ語の「blic」といわれている。


.comvs.co.jp
.comや.co.jpがインターネットのドメイン名の最後についているということは誰でも知っているだろうが、これらの違いは何だろうか?
両者は、管理をしている組織が違う。.comはアメリカにあるNICのもので、世界中のドメイン名と対応するIPアドレスを管理している。つまり、国際的に利用されているドメイン名が.comというわけである。
それに対し.co.jpは日本国内でのドメイン名だ。世界中の多くの国や地域におけるドメインの管理をNICが行っているのに対し、日本国内におけるドメインの登録・管理はJPNIC(財団法人日本ネットワーク情報センター)が行っている。
.co.jpのドメインは、おもに株式会社や有限会社などの法人向け。一般企業や商業法人などがJPNICに登録してドメイン名を取得すれば.co.jpがつくわけである。

な~は行
ハイビジョンvsクリアビジョン
高画質の次世代テレビとして、近年、「ハイビジョン」と「クリアビジョン」が注目されている。
「ハイビジョン」はNHK、「クリアビジョン」は民放が中心となって推進しているが、この二つには大きな違いがある。高画質にするための仕組みが違うのだ。
ハイビジョンは、従来のテレビと走査線の数が違う。テレビの画像は、細い走査線に分解して送られてくるのだが、ハイビジョンでは、この走査線の数を従来の525本から約2倍の1125本に増やした。これにより、緻密な映像を映すことが可能となった。
とはいえ、走査線を増やすとなると、どうしてもコストが高くつく。
そこで、クリアビジョンでは、走査線の数は従来のままにして、横と縦の比率をハイビジョンと同じ16対9のワイド版とした。高画質にするための信号をテレビ電波の隙間に乗せて送り出すものである。
この工夫により、走査線の数をそのままにして、従来より鮮明な映像を映すことが可能になったのである。


ハッカーvsクラッカー
「ハッカー」とは、本来は、コンピュータの専門知識に精通していて、その操作にも優れた人を指す言葉である。
そのハッカーのうち、偏ったマニアが、自分の技術や知識を誇示しようと、イタズラ心からインターネットを通じてあちこちのコンピュータに侵入する遊びをすることが多くなった。このため、コンピュータを使った犯罪者を誤解してハッカーと呼ぶようになってしまったのである。
しかし、ネットワークを利用してフログラムの改ざんやデータの破壊などを行う人は、正しくは「クラッカー」と呼ばれる。パソコンの技術者であるハッカーとは区別して呼ぶべきなのだ。インターネット発展に寄与してきた本来の技術者たちは、コンピュータを使った犯罪者とわれわれ技術者を、きっちり「クラッカー」と「ハッカー」と呼び分けるようにと主張しているようだ。


BSvsCS
「BS」も「CS」も高度3万6000キロメートルにある衛星を使って電波が送信される、衛星放送であることに変わりはない。もっとも大きな違いは、衛星自体の使い道だ。
BSは「Broadcasting Satellite(放送衛星)」、CSは「Communication Satellite(通信衛星)の略。文字通りに、BSは放送のみに使われることを目的にした衛星で、CSは放送以外にも企業開通信など多様なデータ全般の通信を目的としたものだ。CSは電波が弱いため、サービス開始当初は一般家庭での受信は想定されていなかったが、技術の進歩で受信可能になった。
BSの衛星の位置は東経110度、CSが124、128度にあるため、従来は、両方を受信するには別々の機械が必要だった。しかし2002年に始まった東経110度CSデジタル放送は、BSと同じ方向に衛星があるため、一組のアンテナと受信機で両方が受信できるようになった。


美容師vs理容師
「理容師」も「美容師」も、髪を切ったりセットしたりという点で同じ二つの職業だが、1948(昭和23)年制定の理容師法、1957(昭和32)年制定の美容師法と、関連する法律が違う。最近では美容院に行く男性も増えているが、もともと理容師は男性の髪を、美容師は女性の髪を整えることが仕事とされていた。
理容師の仕事の基本は調髪と顔剃り。最近では、おしゃれになった男性に対応するために毛髪や頭皮、肌などのケアに力を入れている理容院も増えているようだ。
美容師の仕事は大きく分けると、美容と美粧。シャンプー、カット、セットなどの基本的な技術は理容師と同じである。
理容師が清潔感を保つことを基本に男性の整髪を得意とするのに対し、美容師は美しくすることを基本として、カット以外のパーマやカラーリングにも力を入れている。メイクなどの美粧の割合も大きくなっている。
しかし、理容師もパーマやカラーリングなどを行うから、得意分野、不得意分野はあるものの両者の境界ははっきりしない。ただし、一つだけ理容師にしかできない仕事がある。顔剃りだ。顔剃りができるかどうかが、理容師と美容師の違いといっていいだろう。


フリーズvsバグ
コンピュータを使っていると、突然正常に動かなくなることがある。こんなとき、「バグった」とか「フリーズした」などという言葉を使うが、「バグ」と「フリーズ」を使い分けている人がどれほどいるだろう。両者は同じような意味と勘違いしがちだが、実際、その内容はかなり違う。
バグとは、ソフトウェアのプログラムに含まれている不具合のこと。単にその場での故障ではなく、プログラミングの段階での不具合を指す言葉だ。
バグの語源は、プログラムの誤りを小さな虫になぞらえている。どんなに技術が進歩しても、人間が作成するものだけに、バグのまったくないプログラムを作成するのは不可能といわれる。
それに対し、フリーズはその名のとおりコンピュータが凍りついた状態。つまりコンピュータの動作が完全に凍りついて停止してしまうことで、ディスプレイでボタンがまったく動かなくなってしまうものだ。
フリーズの原因は、ソフトウェアの不具合や周辺機器の誤作動、重大な操作ミス、あるいはケーブルの不十分な結線など。ショートカットキーによるアプリケーションの切り替えや再起動で復活する場合もあれば、強制的なリセットなどが必要な場合がある。


ブレーカーvsヒューズ
電気の分電盤には、ブレーカーがついている。古い家屋では、「ヒューズ」と「ブレーカー」が並んでいる場合もある。
ヒューズとやブレーカーはどちらも、限度を超えて電流が流れたとき電流を断つための配線用遮断器だが、ヒューズのほうが先に登場している。
ヒューズは、過大な電流が流れたときに、その抵抗熱によって自ら溶けて電流を断つ仕組みなので、切れるたびにヒューズを取り替えなければならない。
そのため、かつては各家庭でよくヒューズの取り替えをしたものだ。しかしそれではめんどうだというので、ヒューズに代わってブレーカーが用いられるようになった。
ブレーカーは、正式には「安全ブレーカー」とか「ノーヒューズブレーカー」といい、限度を超えた電流が流れたとき、内部に組み込まれているバイメタルという端子が曲がることによって、スイッチが「切」になって電流が遮断される。
ブレーカーはヒューズと違って、スイッチを「入」に戻すだけで電流が復活する。


弁護士VS弁護人
テレビドラマなどに登場する弁護士は、よく依頼人の無実を信じて奔走したりしている。だが、実際に刑事事件の報道をみると、被疑者を弁護している人は「弁護士」ではなく「弁護人」となっている。では、「弁護士」と「弁護人」は同じではないのだろうか?
「弁護士」は、弁護士法第三条で、「当事者その他関係人の依頼文は官公署の委嘱によって、訴訟事件、非訟事件及び行政庁に対する不服申立事件に関する行為その他一般の法律事務を行うことを職務とする者をいう」と定義づけられている。
つまり、「弁護士」とは、あくまで職業の名称なのだ。
だが、「弁護人」は職業ではない。刑事訴訟固有の用語で、「刑事訴訟で被告人または被疑者を弁護するために選任される者」である。訴訟のたびに、その訴訟の被告人または被疑者のための弁護人が選び出される。弁護人に選ばれるのはたいてい弁護士だが、例外もある。弁護士でなくても、裁判所の許可を得れば弁護人になることができるのだ。その場合は「特別弁護人」と呼ばれる。


放射線vs放射能
混同されることも多いが、「放射線」と「放射能」は、同じものではない。
「放射線」は光の仲間である電磁波や高速の粒子のこと、「放射能」は放射線を出す能力のことだ。
つまり、放射線は飛び出てきたものそのものに、放射能は放射線を出す側に関係する。懐中電灯にたとえれば、光を出す懐中電灯が放射性物質、光が放射線、光を出す力が放射能ということになる。もちろん、放射線は光とは違って目で見たり、人間の五官で感じたりすることはできない。
物質中を放射線が走ると、その道筋に沿って物質の分子が陽イオンと陰イオンに分かれる(電離という)が、放射線治療や原子力の分野では、電離を起こすものだけを放射線と呼んでいる。紫外線や赤外線も広い意味では放射線だが、これらは電離は起こさないので、一般的には放射線とは呼ばれていない。

ま~や行
マルチ商法VSネズミ講
うまい儲け話に弱い人が多いのか、「マルチ商法」や「ネズミ講」の被害はあとを絶たない。
この二つは、同じように思われがちだが、じつは微妙に違う。
「ネズミ講」は、一定の金額を払って会員になり、新規会員を勧誘して入会させるとお金をもらえるもの。
勧誘して入会させた子会員や孫会員が一定人数以上になれば、自分が支払った金額を上回って利益が出るというシステムで、単なる金品の配当組織である。新規加入者が必ず限界に達するので、組織の維持ができなくなり、大多数の加入者は損をする。
もう一方の「マルチ商法」もネズミ講と似ているが、こちらは単なるお金のやり取りだけでなく、商取引を伴う。商品やサービスの代金を払って加入した人が、その商品やサービスを売ってマージンを受け取るという方法だ。
必ず行き詰まるネズミ講と違い、マルチ商法は適切な運営をすれば事業の継続が可能である。ネズミ講は全面的に違法なのに対して、マルチ商法は法律でさまざまな規制を受けながらも、マルチ商法そのものを禁止する法律は存在していない。


ミクロ経済学vsマクロ経済学
経済関係の記事を読んでいると、「ミクロ経済学」と「マクロ経済学」という言葉をよく目にする。
ミクロ経済学では、個別の経済主体の行動が分析の対象となる。経済主体とは、消費者の家計や企業など、市場経済を構成する一つ一つの単位のことだ。つまり、ミクロ経済学は、それぞれの消費者や企業が経済的な満足を得るためにどんな行動をとるかを分析したり、他の経済主体との相互関係を分析して、社会の経済活動の営まれるメカニズムを研究するのである。
もう一方のマクロ経済学では、インフレや物価、GDP(国内総生産)、雇用者数や失業率など、一国の経済全体の活動を分析する。
このマクロ経済学では、個別の経済主体にはあまり関心を払わないが、ミクロ経済学とまったく別ものというわけではない。ミクロ経済学的な分析もあわせて行われる。マクロ経済学がわかると、新聞やニュースの内容を、よりよく理解できるといえる。




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