日本の発明カラオケが世界に受け入れられて普及している

世界に広がったカラオケ文化
世界に広まったカラオケたまたま見たアメリカのテレビドラマで、パーティーで出会った高校生の男女が、カラオケでデュエットする場面がありました。ここで歌う楽しさに目覚めた二人が、ミュージカルのオーディションを受けるという筋書きでしたが、カラオケはアメリカでも、テレビドラマに出てくるほど生活に溶け込んだ文化となっているようです。

歌に対する人類の夢を具現化した機械カラオケは、その誕生から30年を経ずして全世界に普及した。世のさまざまな文化流行を見ても、これほど短期間に、これほど広範囲の普及を見たものは他に類を見ない。

これは、日本人が書いた文章ではありません。ロンドン大学歴史科の研究員、ジョウ・シュンとフランチェスカ・タロッコが、その著書『カラオケ化する世界』で記した一文です。

同書では、カラオケがカントリーと融合したアメリカ、パブ文化と融合したイギリス、カラオケタクシーまで登場したシンガポールや台湾、国民的娯楽となった韓国など、世界各国のカラオケ事情をフィールドワークした結果が報告されています。

カラオケが世界のどれだけの国にどのくらい普及したかを定量的に調べたデータは見当たりませんでしたが、この本の存在そのものが、カラオケが世界に普及したことを示す証拠のひとつと言えるでしょう。

カラオケというのは、あらかじめ録音してある伴奏を専用装置で再生し、それに合わせて歌うこと、あるいはそのシステム自体のことを指します。もともと放送業界の用語で、オーケストラ(オケ)が空っぽ(カラ)、つまり歌番組などでオーケストラによる生演奏が無く、歌い手が録音した演奏で歌うことを意味しました。

カラオケを最初にビジネスとして成功させたのは井上大佑という人で、1971年にカラオケの1号機「8JUKE (エイトジューク)」を開発しました。井上氏自身が演奏した40曲を録音した8トラックテープ10本と、その再生装置やアンプなどをセットにしたもので、翌1972年から兵庫県神戸市でスナックなどにレンタルで販売しました。料金は、5分歌って100円だったと言います。このビジネスがヒットし、井上氏は1973年にカラオケ機器のレンタル会社「クレセント」を創業しました。カラオケの特許は申請しませんでしたが、井上氏は1999年、アメリカの雑誌『TIME』で20世紀にアジアに最も影響のあった20人の1人に選ばれ、「毛沢東やガンジーがアジアの昼を変えたとするならば、井上はアジアの夜を変えた」と評されました。

また、2004年にはイグノーベル賞の平和賞を受賞しています。この賞は、アメリカの雑誌『風変わりな研究の年報』が企画運営するノーベル賞のパロディで、人々を笑わせ、常識と思われることを覆させてくれた研究に対して与えられるものです。さらに、2005年には井上氏をモデルにした映画『KARAOKE』が公開されました。

話を元に戻すと、1980年代以後のカラオケの普及と進化ぶりは、凄まじいものでした。ちょうど、メディアやITが急激な技術革新を重ねている時期で、それに合わせてカラオケもどんどん進化してきたのです。

最初は歌詞カードを見ながら歌うのが常でしたが、映像カラオケが登場したことで、モニター画面に出る歌詞を見ながら歌うように変わりました。現在のシステムでは、歌うべき部分の歌詞の色が変わり、歌う人をサポートするようになっています。

また、1984年に第一興商とソニーがCD用のオートチェンジャー「CDK17000」を開発したことによって、選曲もリモコンでできるようになりました。演奏を録音したメディアも、8トラックテープからカセットテープ、CD (コンパクトディスク)、LD (レーザーディスク)、VHD (ビデオディスク)、ビデオCD、DVD (デジタルバーサタイルディスク)と目まぐるしい変化を遂げてきました。1992年には、世界で初めての通信カラオケ機器が登場します。

ゲームメーカーのタイトーから「X 2 0 0 0 」が、ブラザーエ業グループのエクシングから「J O Y S O U N DJS11」が発売され、ついに通信カラオケの時代に突入したのです。

通信カラオケは、曲のデータがリアルタイムでカラオケの装置に配信されるシステムで、新曲が発売された当日でも歌えるようになると同時に、DVDなどのメディアが不要になりました。この時代の通信カラオケはLDより音質が劣り、映像も今ひとつでしたが、2000年以降、光ファイバーなどのブロードバンド回線が導入されるとともに機器の高性能化が進み、音質も映像も格段に進歩しています。

こうして、カラオケは大衆化する一方で、最先端技術を駆使した電脳システムとしても猛スピードの進化を遂げてきたのです。





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