日本は島国で国境を持たない国

「国境を過ぎれば、そこは雪国だった…」昔から日本人にとっては、藩やお国の境が国境であった。幸か不幸か、われわれは外国といえば海の向こうのはるかかなたの場所くらいにしか思っていません。

もし日本が陸続きの国境を持っていれば、隣人を理解するための努力、主張をとおしつつ融和を図るセンス、国境を守る気概等々が必要となったことは確かでしょう。周辺から受ける影響は何であれ直接的かつ迅速であるから、常にあらゆる事態への対処が備えられるだろうし、そのための情報に対する感覚も鋭敏になるに違いありません。

われわれにとっては他愛のない空想であるが、世界ではこれが現実そのものです。日本も決して面積の大きい国ではないですが、日本と周辺の海域をそのまま欧州のある部分に重ねると、そこには10の国が入るといいます。

今、世界に200近い国があるが、このうち陸上に国境線を持たないいわゆる島国は40カ国前後あるとされています。その大半は太平洋やカリブ海にある国家であり、人口が1000万人を超えるのは日本、オーストラリア、フィリピン、スリランカぐらいのものです。

海岸線そのままが国土の形となる中でほぼ同一の文化、言語を長く保ってきた日本の成り立ちは、やはり相当に特殊な形態といわざるをえないし、この点の功罪のバランスシートも一概に結論づけられるものではないでしょう。

例えば、島国だからこそホモジニアス(均質性)なまとまりのよい国民構成が可能であり、経済活動に大きなメリットがあったことは事実です。戦後経済発展のキーワードのひとつとして、このホモジニアスをあげることに大方の異論はないでしょう。一方、島の外では通用しないしきたりやマナーがあったり、仲間うち社会ゆえの甘えや足の引っ張り合いがあることもまた事実です。

海というバリアに守られると同時に、例えば南北アメリカ大陸のように他の民族を受け入れるほどの土地も資源もなかったことが、日本にとって幸運であったか否かの結論はそう簡単に出るものではありません。 今ひとつつけ加えると、この国が鎖国を実行できたのも島国であったためといってよいでしょう。ヨーロッパのように、周囲と陸続きですべて国境を接していれば鎖国という発想すら湧いてこないと思います。

1639年から220年間にわたった鎖国に加えて、この期間を含め日本を支配した徳川家の家風が、その後のこの国の国民性形成に大きな影響を及ぼした、との説もあります。外部との接触が断たれたことによって、独自の習俗や精神がますます純化し研ぎ澄まされたであろうことは容易に想像がつきます。

EU統合によりヨーロッパでは「国境なき欧州」になり中海から北極海まで、文字どおりボーダーレスでつながっています。 こうした問題に全く無関心でいられる日本という国、果たしてこの地政上のポジションは幸せなことなのでしょうか。



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